仕事始め

今年のプロフェッショナルコーチとしての仕事は、東南アジアと南アジアと大洋州と中国系のクライアントさんを対象とした英語のセッションで始まりました。

グローバル企業で働くビジネスパースンにとって、異文化の同僚や取引先とのコミュニケーションを円滑に進めるスキルは必須。

わたしも政府、国連、国際NGO、そして現在はコーチング業界のなかで様々な国や文化圏の人々と話をしたり、もちん、コーチとしてセッションをさせていただき、毎日が異文化コミュニケーションの実践です。

そのなかでよく参照しているのが、エリン・メイヤーさんのThe Culture Map。

邦訳は『異文化理解力』というタイトルで英治出版から刊行されています。

著者のメイヤーさんは米国のミネソタ州(アメリカ合衆国中西部の北部、カナダに面した州です)生まれ。成人後は大半の人生をヨーロッパとアフリカで過ごし、現在はパリ在住。

この本は中国の武漢に赴任するフランスの自動車会社の経営陣のひとりとエリンさん、そして武漢出身の専門家ボー・チェンさんとのミーティングの例から始まります。

大きなビジネスチャンスがかかっていたこのミーティングで、中国人のチェンさんはずっと沈黙を守っていて、彼の助けを期待していたエリンさんはパニック状態に陥ります。

最後に「ボー」「何か実例はありますか?」と声をかけて初めて、チェンさんは話し始めたのです。

「どうしてもっと早く割り込んで私たちに教えてくれなかったの?」と訊ねるエリンさん。

チェンさんの答えはエリンさん、フランス人の経営チーム・メンバーにとって衝撃的でした。

「この部屋では彼女が一番偉いため、彼女に発言を求められるまで待ちました」

「待っているあいだは、口を閉じ体を動かさないで良い聞き手であることを示さなければなりません」

チェンさんは昔母親から受けた教えをシェアします。

「目はふたつ、耳もふたつ、でも口はひとつ。その数に応じて使いなさい」

この逸話は異文化コミュニケーションの現場に起き得る事態と対処方法に関する、素晴らしいケース・スタディとなっています。

わたしは「グローバル人材をサポートするグローバルコーチになる」を自分のミッションとして掲げています。

今年も楽しく、前向きに異文化との体験を積んでいきたいと思います。