自分だけの物語を編集するということ

昨年(2023年)の年末に、松岡正剛さんが主宰する編集学校第三期月読按配教室で一緒に編集術を学んだ仲間と数年ぶりに再会し、小田急線豪徳寺駅の界隈にある編集学校を久しぶりに訪ねました。

そこで「本」というカタチの可能性を再確認したことだけでもたいへんなお年玉だったのだけど、さらに当時わたし達の師範を務めてくださった太田香保さん(現:株式会社松岡正剛事務所代表取締役&編集学校総匠)から松岡正剛さんの「千夜千冊」の文庫版『文明の奥と底』(角川、2018年)をいただくという超特大のクリスマスプレゼントが加わりました。

そこで、わたしの好奇心のスイッチが入ったらしく、この年末年始は久しぶりに読書三昧の生活を過ごすことになりました。

わたしは昨年初めから新しい本を書こうと思い、旧年中は主に心の哲学関連の本を読んできたのだけど、松岡正剛さんの知的ワールドに触発されて、今は中村桂子さんの生命誌や藤沢令夫さんの古代ギリシア哲学、津田一郎さんの拘束条件付き自己組織化理論...を手あたり次第に読んでいます。

そのなかで、2004年の年末にスマトラ沖地震で亡くなった、わたしの中学時代の同級生で絵本編集者として活躍していて米田佳代子が書いた絵本の紹介文サイトを発見して、中学時代から現在までの自分の人生を振り返ったり、とても濃厚な時間を持つことができました。

さまざまな想いが湧いては消えるなかで、たしか正剛さんがどこかで書いていたと思うのだけど、わたし達一人ひとりの人生というのは、さまざまな先達から引き継いだ物語をそれぞれが独自に編集して次の世代に手渡すようなもの、として捉えるのが自分にはしっくりくるように感じるようになりました。

そして、わたしがこれから書こうとする本も、自分だけが書ける、自分の物語にしようと思い至ったわけです。

他人がつくった枠組のなかで安全運転を心がけても、自分らしい物語を編むことはできない。

これが新春にあたっての自分の決意です。